Historical Architecture
金山は25年にわたって、歴史的建造物の保存再生について、建築家の立場から、あるいは一愛好者の立場から係わってきました。特に、金山が学生時代を過ごした横浜には思い入れがありましたが、近年急速にその数を減じ、歴史的資産の厚みのない凡庸な都市に変質しつつあるのは何とも残念なことです。
三井物産横浜支店生糸倉庫について
三井物産横浜支店の生糸保管用の倉庫は、日本の鉄筋コンクリート造建築の開拓者である、遠藤於菟の設計により、1910年に竣工しました。隣接する三井物産横浜支店のオフィス棟は1911年竣工の、最初期の全鉄筋コンクリート造建築として余りにも有名ですが、鉄筋コンクリート造と煉瓦造、木造を巧みに組み合わせた、独特のハイブリッド構造である本倉庫も、国の重要文化財級の価値があると言われていました。
金山は賛同者を得て、当該建物の保存運動に取り組み、3,000筆近い署名を集めて所有者や横浜市などの関係方面に働きかけましたが、残念ながら2014年に解体され、現在はコインパーキングになっています。
ご参考「旧三井物産横浜支店生糸倉庫を壊して欲しくない人々の会」FB
https://www.facebook.com/mituiyokohamaWarehouse/
ヘリテージマネージャーについて
現在各地で「ヘリテージマネージャー」の養成が行われています。阪神淡路大震災とその後の復興の中で、指定文化財などの限られた名品だけでなく、多くの時代の多くの建物を残さなければ、まちは歴史を失ない、奥行きのない空間になってしまうのではないか、とうことが改めて問われました。その教訓から生まれたのが、国の登録文化財制度と、民間資格であるヘリテージマネージャーです。
幅広い歴史的建造物を守り、再生し、活用して行くには、建築史を専門とする学者や、文化財を扱う専門家や行政マンだけでなく、多くの建築士が歴史的建造物に関する知識を身につけることが大切、という考えから生まれたヘリテージマネージャーは、誕生から20年を経て、災害時だけでなく、日常の中でも、歴史的建造物の保存・再生・活用を目指して全国で活動しています。東京でも2017年度からようやく養成講座がスタートしましたが、金山は当該講座のカリキュラム等を検討する東京建築士会の委員として、その実現に向けてささやかながらお手伝いをしてきました。また、現在は、講座修了生等により組織された「東京ヘリテージマネージャーの会」の初代代表を務めています。
より多くの歴史的建造物を残すために、所有者に寄り添いながら、技術面、費用面等々の課題に対して、有効な提案をして行きたいと考え、日々研鑽しております。歴史的建造物にかぎらず、「ちょっとふるい建物」の維持管理等にお悩みの方がいらっしゃいましたら、是非お近くのヘリテージマネージャーにご相談ください。
ご参考「東京ヘリテージマネージャーの会」FB:
https://www.facebook.com/TOKYO.heritage/
復興小学校について
1923年に発生した関東大震災では、多くの小学校校舎が火災で焼失しました。東京市や横浜市が、帝都復興事業の一環として、これらの小学校校舎を鉄筋コンクリート(RC)造に建て替えたものを「復興小学校」と言います。東京市は震災前から小学校のRC造化に着手していたので、震災後は復興小学校の設計理念を共有するかたちで、非焼失校舎の改築(RC造化)も同時並行的に進めましたが、これらは復興小学校と区別して「改築小学校」と呼ばれます。その総数は東京市で170校(内、復興小学校は117校)、横浜市で31校にのぼりましたが、その数は年々減少し、現在は東京都内に24校を残すのみとなっています。
金山は中央区明石小学校の保存運動をきっかけに知り合った仲間たちと「復興小学校研究会」を立ち上げ、その歴史と意義を伝える活動をおこなっています。
ご参考「復興小学校研究会」FB:
https://www.facebook.com/fukkoushou/